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【 ADHDとASD 】注意欠陥・多動性障害と自閉症スペクトラム障害の人に適した職業とは?

公開日
更新日

 
執筆:山本恵一(メンタルヘルスライター)
 
医療監修:株式会社 とらうべ
 
 
ADHDASD についてご存知ですか?
生まれつき脳の機能不全があって、発達が偏っているので、生きつらさを抱えながら社会生活を送っている発達障害。最近注目されている大人の発達障害として、注意欠陥・多動性障害(ADHD)と自閉症スペクトラム障害(ASD)、および両方が合併しているパターンがあります。
注意欠陥・多動性障害や自閉症スペクトラム障害の特徴はどのようなもので、どんな職業に適していると思われているでしょう?
 
 

3つの注意欠陥・多動性障害の特徴とは

 
ADHDには3つの特徴が挙げられています。それは、「多動」「不注意」「衝動性」です。
 
<多動>:椅子に座っていられなくて外へ飛び出す、落ち着きなく走り回る、手足をいつもぶらぶら動かしたりなどが顕著
 
<不注意>:集中できず飽きやすく、相手の話が聞けなくて、物を忘れたり無くしたりしやすい
 
<衝動性>:相手の話を途中でさえぎったり、順番を待たずに割り込んだり、気に入らないと感情的・攻撃的になったりする
 
これらの特徴に関して大人の場合、現在では「不注意優勢型」「多動性衝動性優勢型」「混合型」が確認されています。
 
 

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ADHDとASD :男女差はあるの?

 
かつてADHDは男性の方が多いとされていました。しかし現在では、女性も男性と同程度いると推定されています。
男性に比べて女性は診断を受ける時期が遅れることが多い、不注意(注意欠陥)による問題を抱えがちな傾向にあること、女性のADHDを理解するにはホルモンの機序が重要な役割を果たすことなど、最近の研究から新たな知見が明らかになっているようです。
 
 

注意欠陥・多動性障害と自閉症スペクトラム障害:どうちがうの?

 
ASDには症状の特徴として「社会的コミュニケーションの障害」と「興味の限局」の2つが挙げられています。
 
<社会的コミュニケーションの障害>:たとえば、空気の読めない会話、抽象的な質問に答えられない、質問の意図が理解できない、会話のキャッチボールがままならないなど。
 
<興味の限局>:狭い自分の興味の範囲では安心しているが、そこから抜けられない、些細な言葉にひっかかってしつこく言葉じりを追及する、予定外のことにパニックを起こしたりするなど、つまり、「こだわりの強さ」。
 
 
専門医の姜昌勲医師は、かつて知的障害を持たないアスペルガー症候群を、ASDとADHDとで次のように違っていると指摘しています。総じて、ADHDの方がASDよりも表情が豊かだと指摘しています。
 
 

ASDとADHDの違い

 

会話にまとまりがない

細部にこだわってひとつの話題に傾倒するASD患者にたいして、ADHD患者はポンポン話が飛ぶ。
 
 

同じ話を何度も繰り返す

何回も何回も、ネガティブな過去の経験にとらわれて話しをするASD。たいしてADHDの場合は、何回もその人に同じ話しをしたのを忘れている。
 
 

空気を読むことができない(状況が見えない)

ASDは相手の意図を読めずに「自分ルール」にこだわる。だから空気が読めないのに対して、ADHDはじっくり時間をかければ場の雰囲気がわかるはずなのに、自分の欲求に衝動的で、すぐに行動するので結果として空気が読めていない。
 
 

不注意

ASDは「自分ルール」が最優先してしまい、たとえば仕事で柔軟性を求められても、適切に振る舞えなくてミスを生じ、「不注意」とみなされてしまう。一方ADHDは、詰めの甘さや単純な見落としなどが、不注意の症状としてでている。
 
 

こだわる

ASDの場合は、多様性のない限局的な興味にこだわってしまうのに対し、ADHDは多様な選択肢があると混乱して優先順位がつけられず、合理的選択や状況把握をあきらめて、これまで慣れ親しんだ行動を安易に選ぶ。
 
 

発達障害を持つ人に適した職業

 
ADHDもASDもどちらも、自分の長所を活かすような職業選択が、発達障害と見られる「生きづらさ」から解放されるのではないかと考えられています。
 
とくに、臨機応変な対応、対人スキルや高度な協調性、同時に2つ以上の異なる要求をこなさなければならない仕事は苦手とされ、具体的には接客業や営業、人事・経理・総務関係、交通・運輸関係、飲食関係、旅行関係、金融関係、予約係や顧客窓口などは、職業には不向きだろうといわれています。
 
一方、星野仁彦医師(福島学院大学教授)は、ADHDで成功したり、適していそうな職業は、一般的には次のようなものだと言っています。
 
(1)学者、予備校・塾講師、研究者、中学・高校教員など
(2)消防士、警察官、雑誌・新聞の記者、カメラマン、作家、ディレクターなど
(3) アニメーター(CG)、画家、漫画家、プログラマー、建築関係、広告関係、デザイナー、スタイリストなど
(4) 歯科技工士、調律師、電気技師、自動車整備士、調理師、校正、図書館司書など

 
 
星野医師によるとアスペルガー症候群の人が向いていそうな職業は、次のようなものとのこと。
 
(1) カメラマン、工学・建築製図技術者、グラフィックアーティスト、ウェブ・デザイナー、工芸家、生物学教師、動物訓練士、自動車整備士など
(2)コンピュータプログラマー、物理学者、エンジニア、化学者、音楽教師、作曲家・音楽家、数学教師など
(3)ジャーナリスト、翻訳者、司書、証券アナリスト、コピー・エディター、会計士、簿記・記録管理担当者など

 
こうした指摘からは、ASDもADHDもどちらも、スペシャリストとして、クリエイティブな仕事や職業に従事することが向いていそうです。
 
もちろんこれは一般的な傾向ですし、こうした仕事で成功するにはかなりの修練を積む必要があることは言うまでもありませんが、「自分の長所を活かすような職業」という意味でも、覚えておくとよいかもしれません。
 
 

<参考資料>
*1)姜 昌勲『大人の発達障害 診断マニュアル』中外医学社
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52069875.html
 
 
執筆者プロフィール:山本恵一(やまもと・よしかず)
メンタルヘルスライター。立教大学大学院卒、元東京国際大学心理学教授。保健・衛生コンサルタントや妊娠・育児コンサルタント、企業・医療機関向けヘルスケアサービスなどを提供する株式会社とらうべ副社長
 
 
<監修者プロフィール>
株式会社とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供
 
 

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